街中やSNSで見かけることが増えてきた電動バイク。通勤・通学やちょっとした買い物、さらには旅行やアウトドアでも使える新しい移動手段として注目を集めています。しかし、電動バイクといってもその種類はさまざまで、免許の要否や車体性能、価格帯も大きく異なります。
特に話題になっているのが、折りたたみ式のAioon、免許不要で乗れるBLAZE KICKBOARD、自転車とバイクを切り替えて走れるglafit、そしてシンプルで使いやすいモトベースの4ブランドです。名前は聞いたことがあっても「どの違いが自分にとって重要なのか」「本当に使えるのはどれか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、それぞれの特徴を整理し、免許や法規制・性能・価格・おすすめのユーザー像を比較。あなたのライフスタイルに合った最適な電動バイクを選べるよう、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- Aioon・BLAZE・glafit・モトベース、それぞれの基本情報と特徴
- 免許の要否や法的な区分の違い
- 性能(速度・航続距離・折りたたみ性)やデザインの比較
- 購入価格や維持費など、コスト面での違い
- 自分の使い方に合ったおすすめモデルの選び方
各ブランドの基本情報と特徴
Aioon(折りたたみ原付タイプ)
Aioonは、株式会社アップシェアが展開する折りたたみ式の電動バイクです。最大の特徴は、原付一種に分類される“本物の原付バイク”でありながら、折りたたんで持ち運びできるコンパクトさにあります。最高速度は25km/h、航続距離は約30km。重さは約16.5kgと軽量で、車のトランクや玄関先に収納できる点も魅力です。
バッテリーは取り外し可能で、家庭用コンセントで充電可能。原付一種なので免許・ナンバー登録・自賠責保険は必須ですが、そのぶん公道を堂々と走れる安定感があります。毎日の移動手段として利用したい人に向いたモデルです。
BLAZE KICKBOARD(特定小型原付タイプ)
BLAZEが展開する「KICKBOARD EV Basic」は、2023年の法改正で新設された特定小型原付に分類される電動キックボードです。最大の魅力は、免許不要・16歳以上であれば誰でも乗れるという点。最高速度は20km/h、航続距離は30km前後と短距離移動には十分なスペックを備えています。
さらに折りたたみ機能を搭載しており、持ち運びや収納も容易。シートが標準装備されているため、立ち乗りだけでなく座って走行できるのもポイントです。シェアリングサービスのLUUPと同じカテゴリですが、BLAZEは「購入して所有できる」という違いがあります。
glafit(ハイブリッド電動バイク)
和歌山発のスタートアップが展開する「glafit」は、**自転車とバイクを切り替えて使える“ハイブリッドバイク”**として注目を集めています。特に「GFR-02」は、ペダルを漕いで自転車のように走ることも、電動でスクーターのように走ることもできる独自性が特徴です。
最高速度は30km/h前後、航続距離も30〜50kmと比較的長め。車体は約19kgと軽量で、折りたたみも可能。ナンバー登録が必要な「原付扱い」となるため免許は必須ですが、「普段は自転車感覚で乗りたい、時には原付として使いたい」というユーザー層に強く支持されています。
モトベース(コンパクト電動バイク)
モトベースは、中国製の電動バイクをベースにしたブランドで、折りたたみ式のコンパクトさと価格の手頃さで人気があります。モデルにもよりますが、航続距離は25〜40km、最高速度は20〜25km程度。Aioonやglafitと同じく原付一種に分類されるケースが多く、免許・ナンバー登録が必要です。
デザインはシンプルで、実用性を重視。価格帯も10万円前後と比較的リーズナブルで、「とりあえず電動バイクを試してみたい」という入門層に適した選択肢と言えるでしょう。
まとめ
この4ブランドはそれぞれ方向性が大きく異なります。Aioonやモトベースは「折りたためる原付タイプ」、BLAZEは「免許不要で乗れる特定小型」、glafitは「自転車とバイクを切り替えられるハイブリッド」というポジション。まずはこの基本的な立ち位置を理解することで、自分に合ったモデルを絞り込みやすくなります。
免許・法規制の違い
Aioonは原付一種(免許必要)
Aioonは原付一種に分類されるため、運転には原付免許または普通自動車免許以上が必須です。公道を走るには市区町村でナンバー登録を行い、自賠責保険への加入も義務付けられています。また、ヘルメットの着用も必須です。
つまり「自転車の延長感覚」で気軽に乗れる乗り物ではなく、法的にはあくまで原付バイクと同じ扱い。免許を持つ人にとっては安心して走れる反面、免許を持たない層には参入のハードルが高いと言えます。
BLAZEは特定小型原付(免許不要)
BLAZEのKICKBOARD EV Basicは、2023年7月の法改正で新設された**特定小型原動機付自転車(特定小型原付)**に該当します。このカテゴリの最大の特徴は、16歳以上なら免許不要で乗れること。ナンバー登録や自賠責保険は必要ですが、所有者ではなく販売店や購入者が簡単に手続きできます。
最高速度は20km/hに制限されており、走行できる場所は車道や自転車専用通行帯などに限られます。ヘルメットは努力義務ですが、安全性を考えれば着用は強く推奨されます。免許不要という点が最大の魅力で、若年層や観光用途にも向いています。
glafitは原付一種(免許必要)
glafitのハイブリッドバイクは、自転車モードと電動バイクモードを切り替えられるのが特徴ですが、電動バイクモードで走行する場合は原付一種扱いとなります。そのためAioonと同じく、原付免許以上が必要です。
また、ナンバー登録・自賠責保険加入・ヘルメット着用も必須。自転車のように気軽に見えるデザインですが、利用する際にはしっかり法的ルールを守る必要があります。「自転車+原付」という二面性を楽しみたい人向けのモビリティです。
モトベースは原付一種(免許必要)
モトベースの電動バイクも多くのモデルが原付一種に分類されます。したがって、原付免許または普通自動車免許以上が必須です。ナンバー登録と自賠責保険も必要で、法的な条件はAioonやglafitと同じです。
価格の安さやコンパクトさが売りのモトベースですが、法的な扱いは原付バイクそのもの。免許を持たない層にとってはやはりハードルがあります。
まとめ
法規制の観点で整理すると、
- 免許不要で乗れるのはBLAZEのみ
- Aioon・glafit・モトベースはすべて原付扱いで免許必須
というシンプルな構図になります。免許を持っている人にとっては選択肢が広がりますが、持っていない人にとってはBLAZE一択になるのが現実です。
性能・デザインを比較
最高速度と航続距離
まず注目すべきは走行性能です。
- Aioon:最高速度25km/h、航続距離30km前後。原付扱いなので交通の流れにある程度乗れる速度が出せ、毎日の移動手段として十分実用的です。
- BLAZE:最高速度20km/h、航続距離約30km。法定制限のため速度は控えめですが、短距離利用なら不便を感じにくい設計です。
- glafit:最高速度30km/h、航続距離30〜50km。ペダル走行と併用できるため、バッテリーが切れても自転車のように走行できる安心感があります。
- モトベース:最高速度20〜25km/h、航続距離25〜40km。スペックはモデルによって幅がありますが、Aioonとほぼ同等の実力です。
走行性能の面では、glafitがやや優位。長距離走行に対応しつつ自転車としても利用できるのは他にはない強みです。
車体重量と折りたたみ性能
次に利便性を左右する重量と折りたたみ性能を見てみます。
- Aioon:約16.5kgと軽量。折りたためば車のトランクに収まるサイズになり、キャスター付きで転がし移動も可能。
- BLAZE:約21kg。折りたためるものの重量はやや重めで、持ち運びよりも車載や保管用として考えるのが現実的です。
- glafit:約19kg。折りたたみ可能ですが、自転車としても使えるためサイズ感はやや大きめ。
- モトベース:15〜20kg前後。モデルによりますが、コンパクト設計を重視しているため軽量なタイプも多いです。
折りたたんで持ち運ぶ頻度が高いなら、Aioonやモトベースが優位といえます。
デザインと所有感
デザインの方向性も4ブランドで大きく異なります。
- Aioonは未来的でスタイリッシュなデザイン。折りたたみ式ながら「小さなバイク」としての存在感が強く、所有欲を満たしてくれます。
- BLAZEはシート付きキックボードという独自スタイル。カジュアルで若者向けの雰囲気があり、免許不要という点も相まってライトユーザーに人気です。
- glafitは自転車に近いフォルムで、街中でも自然に溶け込むデザイン。バイクというより“電動アシスト自転車の延長”に見えるため、普段使いしやすい印象があります。
- モトベースは実用性重視のシンプルなデザイン。派手さは少ないものの、コストパフォーマンスを求める層には好まれます。
デザイン面では、Aioon=未来感、BLAZE=カジュアル、glafit=自然、モトベース=実用という整理ができます。
まとめ
性能を総合すると、
- 長距離や多用途性を重視するならglafit
- 軽さや折りたたみやすさを重視するならAioonやモトベース
- 免許不要で気軽さを求めるならBLAZE
といった棲み分けになります。
価格・コストを比較
購入価格の比較
まずは本体価格から見てみましょう。
- Aioon:158,000円前後。折りたたみ原付としては中価格帯で、デザイン性や機能性を考えるとコストパフォーマンスは高めです。
- BLAZE KICKBOARD EV Basic:195,580円(税込)。免許不要の特定小型原付という希少性からか、価格はやや高めに設定されています。
- glafit(GFR-02など):200,000円前後。ハイブリッド構造の独自性とブランド力が反映された価格帯です。
- モトベース:100,000円前後。シンプルな構造で比較的安価、入門機として手を出しやすい水準です。
購入費用だけで比べると、モトベースが最も安価、BLAZEやglafitは高め、Aioonは中間という位置づけになります。
維持費の違い
次に、維持費を整理してみます。
- Aioon・glafit・モトベース(原付一種扱い)
- 自賠責保険:年間約7,000円
- 軽自動車税:年間2,000円未満
- ヘルメット必須(別途購入費用)
- 充電コスト:1回数円程度
- BLAZE(特定小型原付扱い)
- 自賠責保険:年額3,000〜5,000円程度
- 軽自動車税:課税対象外
- ヘルメットは努力義務
- 充電コスト:同じく1回数円程度
維持費の面では、BLAZEが最も安く済む一方、原付一種モデルもガソリン代が不要なのでコストは非常に低いです。
長期利用と短期利用のコスト感
利用頻度によって「得か損か」が変わります。
- 毎日の移動手段として使う場合
Aioonやglafitのような所有型が有利。維持費が安定しており、通勤・通学で使うと「1回あたりのコスト」は急速に下がります。 - 週末やレジャー用として使う場合
モトベースのような安価モデル、または免許不要のBLAZEが現実的です。特に「免許はないけど気軽に電動モビリティを楽しみたい」という人にはBLAZEが合います。 - 観光や都心でスポット利用する場合
所有型ではなくLUUPなどのシェアサービスが向いており、今回の比較対象は「毎日使うことを前提に選ぶ人」に向いています。
小まとめ
価格面で整理すると、
- Aioon:15万円台で性能とデザインのバランスが良い
- BLAZE:20万円弱で免許不要という希少性に価値
- glafit:20万円前後でハイブリッド性能を重視する人向け
- モトベース:10万円前後で価格重視派におすすめ
コストに見合う価値をどう考えるかが、選び方のカギになります。
おすすめのユーザー像
Aioonが向いている人
Aioonは折りたたみ可能な原付バイクとして、日常の移動を安定的にこなしたい人におすすめです。
通勤・通学で毎日使えるスペックを持ちつつ、車のトランクに積んで旅行先で使うといった応用も可能。デザイン性が高く、所有する喜びを得たい人にもフィットします。免許を持っており、**「電動でも本格的に使える一台が欲しい」**という方には理想的な選択肢です。
BLAZEが向いている人
BLAZEのKICKBOARD EV Basicは、免許不要で16歳から乗れるのが大きな魅力。都市部でのちょい乗りや週末レジャー、観光地での移動などに最適です。
本体価格は高めですが、「免許を持っていないけど電動モビリティを楽しみたい」というユーザーにはほぼ唯一の選択肢。若年層やライトユーザーに特におすすめです。
glafitが向いている人
glafitは、自転車と電動バイクを切り替えて使いたい人に最適です。ペダルで自転車として走れるため、バッテリー切れの不安が少なく、通勤や街乗りでも安心感があります。
また、運動不足解消やエコ意識を持ちながらも電動の便利さを享受したいユーザーには非常に相性が良いでしょう。**「1台で2役こなす便利さ」**を求める人におすすめです。
モトベースが向いている人
モトベースは、価格を抑えて電動バイクを試したい人にぴったり。10万円前後という手頃な価格設定は入門機として魅力的です。
派手なデザインや特殊な機能は少ないですが、シンプルさと実用性を求める人には十分。**「とりあえず電動バイクに乗ってみたい」**という初心者層におすすめできます。
小まとめ
それぞれのブランドは、ターゲットとするユーザー層が明確に分かれています。
- Aioonは免許を持つ日常ユーザー向け
- BLAZEは免許不要で気軽に楽しみたいライト層向け
- glafitは1台で自転車と原付を使い分けたい層向け
- モトベースはコストを抑えたい入門層向け
自分がどのライフスタイルに当てはまるかを考えることで、最適なモデルが自然と絞り込めるはずです。
まとめ:自分に合った電動バイクを選ぶには?
電動バイクとひと口にいっても、その立ち位置や特徴はブランドごとに大きく異なります。Aioonは原付一種として公道を走れる安心感と、折りたたみ可能な利便性を兼ね備えています。毎日の通勤・通学や旅行先の相棒として、安定的に使いたい人には理想的なモデルでしょう。
一方、BLAZEは免許不要という強みを武器に、16歳以上であれば誰でも利用できる手軽さを持っています。都市部でのちょい乗りや観光地での移動など、気軽に楽しみたい人には最適な選択肢です。
glafitは「自転車とバイクの二刀流」という独自性が光り、日常の移動に加えて運動やエコを意識したい人に向いています。電動とペダルの両方を使い分けられることで、バッテリー切れの不安が少ないのも強みです。
モトベースは価格の手頃さが魅力で、初めて電動バイクにチャレンジしたい人にとって入り口になりやすい存在です。派手さや特殊な機能よりも「まずは試してみたい」というニーズに応えてくれるでしょう。
つまり、電動バイク選びで重要なのは「性能の優劣」ではなく、自分のライフスタイルにどれだけ合致しているかという点です。毎日しっかり使うのか、休日だけ乗るのか、免許を持っているのか、それとも持っていないのか。その答えによって選ぶべきモデルは自然と決まります。
これから電動バイクの需要はさらに高まっていくと予想されます。だからこそ、自分にぴったりの一台を見つけることが、移動を快適で楽しいものに変える第一歩になるのです。

